私は子供の頃から文章を書いたり絵を描いたりするのが好きだった。特に小学生の時に夏休みの宿題として出される絵日記が大好きだった。子供の時に好きだった事は大人になっても好きなもののようで、今回とうとう私の絵日記が本になって世に出た。この本は「サイババの贈り物」という題で日本の近代文芸社から発売された。私は去年の夏から最近までこの本作りに夢中になって過ごしてきた。その間、私は本作りの楽しさと苦労を十分に味わってきた。その体験をここで皆さんにご紹介すれば、いつか自分も本を出してみたいと考えている人の参考になるのではないだろうか、と思いこのエッセーを書いている。文章を書くことが好きな人にとっては、自分の書いた本が世に出るというのはとても大きな夢だ。私にとってもそれはいつかは果たしたい夢だった。今回その夢を実現する事ができて大変に嬉しく思っている、と同時にまあまあ満足のいく形で完成してくれた事に感謝している。
私は去年の9月にインドの聖者サイババに会いに行ってきた。その時の体験を文章にする事を目的の1つにして出かけた。3週間ほどの旅だった。シスコに帰ってきてからすぐに書き始めた。インドで買ってきたインド音楽のカセットテープを聞きながら一気に2週間で書き上げた。私は根気と体力がいまいちなので長篇は得意ではない。原稿用紙に書いたとすれば約150枚位の短いものとなった。それを私の読書好きな女友達2人に読んでもらって彼女達の反応を見て更に推敲を重ね、同じ原稿を見るのはもうタクサンだという状態になってから日本のある出版社にそれを送った。そしたらそこの反応は、「サイババは日本ではもう古い。」という事だった。それで更なる時間のロスをくい止めるために、今度は同じ原稿を2社に同時に送ってみた。その結果、その内の1社からは、「サイババはもう扱いたくない。」という返事をもらい、もう一方の出版社からは、「いや〜、大変に面白く読ませていただきました。私個人としてはとても好きです。正直に申し上げてこの本は3000部は出ると思います。ですが、当社としては1万部以上売れると確信出来るものしか扱いたくないのです。」という返事が返ってきた。その出版社は私の好きな出版社だった。その出版社が3000は出ると言ってくれた以上、なんとか出版するようにした方がいいと思った。そして雑誌の「文芸春秋」に載っていた日本図書刊行会の「本にする原稿を探しています。」という広告に飛びついてみた。そこでは月に100位の原稿を1つ選んで、その後、3000部位行けそうな原稿を10選んで、そして著者が完全に費用を負担して出版する原稿を35、6選んで、残りの50位の原稿は、内容が稚拙とか本にするには短かすぎる、とかの理由で著者に送り返すのだそうだ。出版業界では、最初のカテゴリーを企画と言い、最後のカテゴリーを自費出版と言っている。この中間に出版社と著者が費用を折半して本を出そうというカテゴリーをもうけているのが日本図書刊行会の特徴で、私の原稿はこの中間のカテゴリーに入ったと知らされた。それからが大変だった。他の出版社を当たり続けようか、それとも思い切ってそこから出版するか、それとも諦めようか、といろいろ悩んだ。パソコンを使って電子出版でもやって安く世に出そうか、とも考えた。しかし、パソコンはまだ大衆にまで浸透していない感じだし、やはり1册にまとまった紙の本の温もりが私は好きだった。他の出版者を当たるのもいいが、時間のロスと情熱が色あせるのがイヤだった。そこでなんとか金の工面をつけるべく日本に飛んだ。
日本で何とか金の工面をつけた私は、日本図書刊行会に出かけて私の原稿の編集担当者と顔を合わせた。彼女と話をして契約が成立した。その本に私が20代の半ばから今まで描きためてきた下手ではあるがお気に入りの絵を少し入れてもらう事にした。それらの絵は本の内容とは余り関係がないので、ちょっと邪魔っけだったかも知れない。しかし、本の表紙まで自分の絵で飾って、私自身はかなり満足している。
その後の校正は、初校、再校とあり、日本とアメリカを原稿が行ったり、来たりしながら少しずつ納得のゆくようにしていったが、とうとう見つけ切れないでしまった誤植を3個見つけた。でもそれはしょうがない事だと思っている。表紙の装丁にも気を配り、ああでもない、こうでもない、と口をはさませてもらった。しかし日本とアメリカにまたがった電話とファックスでのやりとりなので、それなりの限界があった。後は専門家にお任せして運を天に祈った。
表紙の装丁の打ち合わせが終わってからの時間がなんと長く感じられた事だろう。余りに待ちくたびれてかえって白けていく自分を感じた。それで旅行に出かける事にした。旅先から帰ったら出来上がった本が1册届いていた。胸をワクワクさせて包みを開けてみた。そこには自分の納得のいく1冊があった。本当にこの1册を出すのは大変だった。皆で苦労して作り上げた1冊だった。皆さん、本当にゴクロウサマ、そして有難う。私は今現在の自分のすべてを表現し切って、もういつ死んでもいいような気分になっている。私のこの世における使命がまた1つ終了した。今後は一体何をやろうかしら?そうそう、私は、只今失業中だし何か仕事を探さなければ.....。皆さん、何か良い仕事があったら教えて下さい。